まずは二番目の娘の自閉症についてお話します。
精神障がいの中ではよく聞く「自閉症」ですが、その実態は?と聞かれると、よくわからない人が多いでしょう。
実際我が家も夫婦でそうでした。
テレビで活躍している方の影響で、「何か才能のある障がいを持った子ってことかな?」とポジティブなことを夫婦で考えていました。
実際計算が得意な子や芸術関係で素晴らしい才能を持つ方は多くいらっしゃいますが、自閉症とはもちろんそういった意味で使われるものではありません。
今回は、私が次女の自閉に気付いた瞬間や自閉の子に多く見られる特徴をご紹介します。
自閉症に気付いたのは新生児期
結論からいうと、私の場合は新生児といわれる生後一か月以内には自分の子が「自閉症かも知れない」と感じていました。
その理由は、次女がほとんど寝ている子だったことにあります。
長女の育児と比べて、次女の新生児期は非常に楽でした。
私はぞっと母乳の出が悪いためミルクに頼りきりでしたが、母子同室直後からずっと娘が泣き出すよりも前にミルクの準備が整うのです。
病院に指導された通り、約3時間おきにミルクを準備するのですが、その前に娘が空腹で泣き出すことは一度もありません。
飲みすぎているという量でもなく、しっかり排泄されているし体重の増加は健康的な増え方だったため、助産師さんに「よく寝るんですよね…」と相談はしつつも、特に気にしてはいませんでした。
しかし退院後、やはりミルクが先回りできる生活に疑問を感じるようになりました。
ミルクが足りているのかな…そう思い、少し時間を空けてみたこともありましたが、結局起きずに先回りになります。
しかも、おむつを先に替えても起きない…おしりふきを当ててるのに起きない…
だっこをしても起きないのです。
「え?生きてる?」と何度も不安になり呼吸を確認しました。
そして起きないまま哺乳瓶を口元へ…すると普通に飲みだして、そこで初めて次女は目を開けるのでした。
「おはよう」と挨拶をしてそのまま授乳を続けますが、飲み切る頃にまた寝てしまい、そのまま次のミルクまで寝っぱなしになるのです。
さすがに寝すぎだと思い、深夜に色々調べた結果、『自閉症の子はよく寝る』という文面を見つけます。
そこで初めて「うちの子は自閉症なのかも」と思うのでした。
自閉症とは何か
そもそも自閉症って何?と考える方も多いでしょう。
自閉症は、正式な名称は自閉症スペクトラム障害といい、主に対人関係・社会性に関する障がいと考えられているものです。
障がいの種類には身体障がい、知的障がい、精神障がいといくつかの種類があり、自閉症スペクトラムは精神障がいの中でさらに発達障がいに分類されます。
パーソナルスペースが非常に大きく、他者との接触を強く嫌がる子もいれば、他者を人と認識せず、または興味を持たないため、一切目が合わずコミュニケーションが取れない子もいます。
非常に大きな定義であるため、特性は人それぞれで、その子の個性に応じた対応が必要になる障がいです。
障がいは「個性」であるため、病気とは違い「治る」という概念のものではありません。
自閉症の子に見られる傾向
自閉症の子には特徴的な動きを見せる子や個性的な性格を持つ子が多いといわれています。
こういった特徴があると必ず自閉症ということではなく、傾向として多い行動・性格というものなので、参考程度にしていただけると幸いです。
特に多く見られる特徴や行動をご紹介していきます
名前を呼ばれても反応しない。音のする方に振り向かない
自閉症の子は他者への関心が非常に薄いため、音や声に対しての反応も同様に非常に希薄な傾向があります。
実際、私の子どもも耳元で手をパチンと叩いても一切反応せず、名前を呼んでも振り返りませんでした。
家に友人がお子さんを連れて遊びに来てくれて、4~1歳の子どもが4人で大騒ぎしている中でも当時生後半年の娘は我関せずで眠りにつき、それを見た友人は「この騒音の中寝た…!」と驚いていました。
あまりにも反応がないので、一度大きな病院で脳波による聴力検査を行っていますが、検査結果は異状なし。
「本当に聞こえているの?」と何度も疑問に思うほど反応は薄く、乳児期に喜ばれる音の出るようなおもちゃはすべて不発でした。
言葉の発達が遅い
言葉に反応しないため、自然と発語は遅くなります。
言葉に興味を持つタイミングは個人差がありますが、言語でコミュニケーションが取れない場合、保護者側がお世話慣れしてしまい、だんだん子供の先手を打つようになります。
そうすると、その子にとって言葉が不要なものになるため、ますます発語が遅れるのです。
とはいえ、先手を打たなければ簡単に発語が見られるのかというえば決してそういうわけでもなく、絵カードを使ったり写真を使ったりと、長い目を見ながら単語をひとつひとつ結びつけるという作業を続けて徐々に言葉を話すことができるようにサポートしていきます。
あやしても反応が薄い
他者や音への興味がないため、あやしても反応が薄い子や、表情の変化があまり見られない子も多くいます。
また、他者からの接触を嫌がる子も多いため、だっこをすると身をよじって嫌がることもありますし、体が触れると怒る子もいます。
我が家でいえば、娘が生後間もない頃、突然泣き出したためだっこをしました。
通常であればだっこをした瞬間少し泣き声に変化があったり多少わき方が弱くなったりしますが、娘はだっこ前とだっこ中で泣き声に一切の変化がなく、「皮膚に感覚ある…?」と心配になることが何度もありました。
あやすことに効果がないため、空腹でもないおむつでもない突然の大泣きは本当にどうしたらいいかわからず、毎日困惑しながらやり過ごしていました。
視線が合わない
自閉症の傾向がある子は、相手が手に持っているものは目に入りますが、持っている人への興味がない、または他者という認識をもっていないため、なかなか目が合いません。
親であれば目が合う、ということもなく、母親である私でもなかなか目が合わなかったので視線の先に自分の顔を移動して無理やり目を合わさせる…ということを何度もしました。
そうすると顔を背けられるので、乳児期は目が合って笑うところを見たことは一度もありませんでした。
生まれてまもなくは寝すぎるがその後寝つきが悪くなる
生後半年くらいまでは、勝手に寝てくれるため夜も大変楽でした。
生後3ヶ月前には夜も起きなくなったため私の睡眠不足解消は早く、日中も気付けば寝ていましたし、あやしても反応がなかったり抱っこを求めるような泣き方もしなかったため、上の娘との時間が取りやすい上に家事も捗ったものです。
しかし、生後8か月頃から唐突に寝つきが悪くなり、ここから夜寝かせるのに苦労するようになりました。
自閉症の診断書をもらうために児童精神科にかかっていたのですが、そこで「自閉症の子と睡眠は実はとても深いかかわりがある」と聞いたことがあります。
それは感覚過敏が原因で、多少の光や衣擦れや少しの音に反応して眠れないという子もあれば、ホルモンの分泌に問題を抱える子もいるというのです。
セロトニンという幸せを感じるときに分泌されるホルモンは、メラトニンという睡眠ホルモンをつくる働きがあります。
そのセロトニンが、自閉症やADHDの子たちはうまく分泌されにくいという傾向があるというのです。それは障がいを抱える子たちのとりまく環境により感じるストレス、もともとの体質など、原因はさまざまでしょう。
セロトニンが分泌されないと、メラトニンが作られないため眠気はやってきません。また、セロトニンが不足しているという事はストレスや不安を感じている状態であり、癇癪など、不機嫌な行動も多くなります。
また、セロトニンが不足すると便秘や下痢などのおなかの不調も出てきます。セロトニンには腸内環境を整える働きもあるためです。
私の子どもも便秘がひどい上に寝つきが悪く、夜に大泣きしていたので振り返ってみればこのタイプだったと思いますが、当時は知らなかったため1年ほど寝つきの悪さと夜泣きに付き合い続けました。
途中で私の出産も挟んだため、上の子たちのお世話でヘルプに来てくれていた私の両親も娘の夜泣きに付き合った時期がありますが、私自身が夜泣きがなかったらしく、「すさまじかった」という感想をいただいています。
このように、自閉症の子は生まれたばかりの頃は実は結構楽な面が多いのですが、成長に伴い手がかかるようになるといわれています。
少しでも疑問に思ったときは保健師さんに相談する
私の場合は生まれてすぐに疑問を感じていたので、生後1ヶ月以内の赤ちゃん訪問で保健師さんとお話するときやその後の健診のときに随時「何か違和感を感じている」という旨を伝えていました。
娘の場合は身体の発達もゆっくりめだったため、生後1歳半でも立って歩くことができず、再健診、再々健診と何度も健診を受けています。
おかげで保健師さんに相談する機会は多くあったため、言葉の発達の遅れなど心配な点を相談したところ、早い段階で療育に関する施設を教えてもらうことができ、2歳になる前に児童発達支援施設に通い始めています。当時そこの施設で娘は最年少でした。
地域によりますが、早い段階で療育に関わると、作業療法士さんに見てもらうことができて、専門的な話を聞く機会を得られます。
娘の場合は4歳になってからでしたが、動こうと思えばもっと早くに療育手帳を発行してもらうこともできたでしょう。
一般の幼稚園や保育園に通わせることに大きな不安があるものの、小学校入学まで集団生活をさせないことにも抵抗があったため、少人数で集団生活を2歳前から始められたことも親としてはありがたいと感じるポイントでした。
各市町村には地域担当の保健師さんがいます。
もしも発達で心配なことがあったら、一番気軽に聞けるのは健診のタイミングですが、役所に相談の電話や直接窓口に行くことも可能なので、少しでも心配や不安を感じたときはため込まずに保健師さんに相談するようにしましょう。
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