子どものADHDは気付きにくい?気付きやすいタイミングとは

ADHD

私の一番目の子どもはADHD傾向が強く出ており、通常学校の支援学級に在籍しています。

実は、二番目の子どもの障がいにはすぐに気付きましたが、一番目の子のADHDに気付くまでは数年かかりました。

今回は、なぜすぐに気付かなかったのか、ADHDを持つ子の小学校入学までの流れについて合わせてご紹介します。

きっかけは幼稚園の先生の言葉

長女は、2歳になった春に地元の幼稚園のプレスクールに通い始めました。

地域では割と評判がよく、施設もきれいで先生たちも感じが良かったのでそこにしたのですが、毎日長女が持って帰ってくるノートの内容は淡々としていて「この活動はうちの娘はちゃんと参加できたのかな?」と疑問に思うようなことも何度かありました。

担任の先生ともお話しする機会やノートでやるとりする機会がありましたが、なんとなく「冷たいな」という印象を持ちました。

春から通い始め、そのまま3歳児から幼稚園生に上がれるように願書の準備をしようと考えていた日のことです。

幼稚園の園長先生から電話があり、以下のように言われました。

園長先生
園長先生

娘さんは言葉での指示が通らず、このまま幼稚園の方に上がると教員の数が足りないので来年からはうちでは見られません

実際はもっと気を使って言葉を選んでいましたが、「うちでは見られないんです」というのはそのまま言われています。

そのような話はノートでも見聞きしていなかったので、初めて聞く内容にまさに寝耳に水状態です。

また、自分の娘が初めて社会から否定された瞬間でもあったため非常にショックを受けました。

地域の保健師さんに娘のことを相談してみたらどうだろうかといわれたので、電話を切った直後に市役所の総合案内に電話をかけて、地元の保健師さんのいる課に電話を回してもらい、直前にあったことをすぐに相談しました。

市役所はあと5分で閉館という時間でしたが、保健師さんは優しく話を聞いてくれ、すぐに娘の幼稚園の様子を見に行ってくれることとなりました。

その日のうちに夫にも幼稚園のことを報告しましたが、内容を改めて口にすることで悲しみが強くなり、そこで初めて号泣しました。

私にとっては初めての子どもで、毎日けなげに一生懸命頑張っている子なので、「この子はうちでは無理」と言われたことがとても悔しかったのです。

後日保健師さんが娘の様子を見てくれて、その日のうちに報告に来てくれましたが、そこで初めて自分の子どもがよその子どもと比べて発達に遅れがあり、落ち着きもないのだという事を知りました。

赤ちゃんの頃はADHDの特性と見抜きにくい

ADHDの主な特徴は注意欠如、多動などであり、新生児期、乳児期にその特性に敏感に気が付く親御さんはそれほど多くないのではと考えられます。

落ち着きがない、待つことができないという場面でも、「元気な子」や「活動的な子」という印象を持つだけに留まることはありますし、注意欠如に関しても、乳児期にそれほど集中力が必要な場面は一般的にはありません。

ADHDが目立つようになるのは多くが集団生活開始後です。

実際、私は幼稚園の行事で周りのお友達が全員静かに座って先生のお話を聞いているのに、自分の娘だけ座っても体がぐグラグラ動き、全員が立って並ぶ場面で自分の娘ひとりだけがフラフラ歩いているのを見て初めて「あれ、うちの子なんか違う…?」と思いました。

それでもその時にはADHDを考えたことはなく、「これから集団生活に慣れたら落ち着いてくるのかも」とのんびり考えていた程度です。

春から始まった集団生活でしたが、秋になる頃には周りのお友達とすっかり差ができてしまっていたのでした。

ADHD傾向の子どもにも療育は必要

地域の保健師さんに相談してすぐに幼稚園に様子を見てもらった結果、療育を受けた方がいいという話になりました。

どの地域にも行政で療育を受けられるかと思いますが、大体1歳6ヶ月健診や3~4歳頃の健診で「発達に不安があれば」と教えてもらう機会があります。

保健師さんも話してましたが、「療育」や「福祉」という言葉は今まで関わりのなかった人からすると、利用するまで大変ハードルが高いです。

窓口が障害福祉課になるので、嫌悪感すら抱く方もいるとのことでした。

私自身、長女に関しては「自分の子どもが障がい者かわからないのに利用していいのだろうか…」と思っていたのですが、明らかに療育が必要な次女の存在があったので次女のついでに長女のことも相談するという気持ちで申し込みをしました。

結論としては、長女にも療育は必要だったのです。

療育の施設では専門の知識を持った人に見てもらえる

地域によりますが、私の住んでいるところは行政の発達支援・相談をしている施設に申し込み、月に1~2回程度施設を訪れて支援を受けるというものでした。

最初のうちは作業療法士さんが同席してくれ、勉強中や体を使った活動中に色々なことを試して子供の反応を見ていました。

その中で見つけた特性を教えてくれて、「ここは伸ばしていきたいですね」と教えてもらえるのは親にとっても嬉しいものです。

また、そちらとは別に、私の場合は民間で運営している児童発達支援施設にも子供を入所させています。

私の住んでいる地域は児童発達支援施設・放課後等児童デイサービスの多い地域で、子供に療育を受けさせるには比較的優しい地域となっているので、幼稚園がダメならそちらで集団生活をさせようと考えました。

施設が多いということは選択肢も多いので、自分の家から比較的近く、保健師さんからの評判もいいところで探すことにしました。

どの施設も入る前に必ず施設の相談員さんと面談して、実際に施設を見る必要があるため、気になったところに電話で面談の予約をして、後日夫と保健師さんも一緒に訪問し、無事に入所が決まりました。

入所したのは幼稚園からの連絡の2か月後で、長女は2歳になったばかりでした。

この時、せっかくなので間違いなく今後療育が必要になることがわかっていた次女も同時に療育を受け始めています。次女は1歳でした。

結果として、長女はここから年少の終わりまで児童発達支援施設に通い、年中からは一番下の息子と一緒の保育園に通い始めています。

児童発達支援施設で手厚く見てもらい、少しずつ成長できたおかげで、年中からは保育園であれば園児1クラスの定員数が幼稚園より規模が小さく、先生の目が届きやすいということで相談員の先生に「この子なら大丈夫!やっていける!」と太鼓判を押してもらえての退所でした。

ADHD傾向の子どもに療育が必要な理由

ADHDは、人によりますが成長とともに少しずつ落ち着いてくることもあります。

実際私の娘も「落ち着きはないけど授業は受けられるか…?」という微妙なラインまで成長し、小学校からのクラスを悩む段階になりました。

そこで頼りになってくるのが行政の療育施設です。

相談員さん
相談員さん

〇〇ちゃんは支援学級の情緒がいいような気もします

相談員さんからそう言われ、私はそこで初めて支援学級にも種類があることを知りました。

支援学級には種類がある

支援学級にも、知的・情緒・聴覚など、複数の種類があり、障がいの程度や種類でクラスが分かれるのだそうです。

私が子供の頃は支援学級は1クラスしかなかったような記憶があるのですが、住んでいる地域の子どもの数で支援の必要な子の数も違うのかもしれません。

また、保健師さんの話では2010年~2015年の間に療育を必要とする子供の数が急増したそうです。

健診時に見る発達の度合いのクリアラインが高くなったのか、発達に心配のあるお子さんが増えたのかは不明ですが、私が子供の頃より療育を必要とする子供の数は実際に増えているようです。

簡単に説明を聞くと

  • 知的クラスは知的障がいを持つ子が主に通うクラスで、通常学級の子たちと同じ教科書は使わない
  • 情緒は知的に遅れがない子が通うクラスで通常学級と同じ教科書を使って学習する

という事がわかりました。

通級については、通常学級とほとんど同じ授業を受け、ところどころ支援を受けるというクラスなので、娘には少しハードルが高いかもしれないという話でした。

知的発達については、行政の療育で申込をすると知的検査をしてくれます。

そのため、自分の子どもの知的な遅れの有無を確認できるので長女も受けてみました。

結果としては1歳前後の遅れがあるという事でしたが、本人の頑張り次第では情緒で通常学級と同じだけの学習をスレうことができるという話だったので、私は支援学級の情緒クラスを選択しました。

行政と民間の使い分けで就学まで万全のサポートを受けられる

子供の進路は基本的に親が決めます。

「このクラスの方が合っているように思える」と相談員さんに言われても、親が「通常クラスで」と言えば子供のは通常学級に進むのです。

ただし、入学後に変更はできます。

とはいえ、自分の子には楽しく学校生活を送ってほしいと思うので、私は支援学級の情緒を選び、そのことを行政の療育の相談員さんに伝えました。

ここで伝えておくと、市で管理している支援学級の管理しているところに連絡が入ります。

そこが市内の学校の支援学級をまとめており、支援学級を希望する場合はそちらで面談を受けるのです。

私のときは先生が3人、保育士さんが1人でした。

先生はそれぞれ何校か小学校の校長先生を勤めていた方々で、面談中も子供の様子を見ながら色々と小学校生活のアドバイスをいただいたり支援学級についての説明をしていただきました。

それとは別に就学前健診も通常通り受けますが、支援学級を希望している話は療育施設から事前に伝わっていたので話はスムーズでした。

このように、行政の療育は就学前が一番の頼りどころです。

実際行政の療育は小学校入学直前の3月で満期なので、小学校入学までのサポートがメイン業務となっています。

民間の療育はというと、未就学児は「発達支援施設」に通所できますが、就学後は「放課後等児童デイサービス」への通所が可能となります。

長女は年中で保育園に移りましたが、小学校入学後、もともとお世話になっていた療育の施設にお願いし、運営している児童デイサービスに入所させてもらいました。

療育が必要な子の場合は学童に落ちても児童デイサービスという選択肢があるので、時短勤務であれば外で働きやすいというメリットもあります。

民間の方は会社によりますが、私がお願いしているところは高校卒業まで利用できる施設がいくつかあります。

実際長女も次女も成長に合わせて何度か施設を移って利用し続けています。

民間を長く利用するメリットは、幼少期から知ってくれているのでなんでも相談しやすく理解してくれるというところです。

また、民間にも専門の相談員の先生がいるので、子供の長所・短所を見つけてくれ、長所はどんどん伸ばしていこうと得意なことを活動に取り入れてくれます。

また、短所は少しでも困りごととしてのレベルを下げられるよう支援してくれるのです。

年に何度か支援計画書の作成があるため定期的な面談や事前調査がありますが、その際に現在の困りごとを共有できますし、今現在の発達の状況から、高校入学以降の進路の相談がしやすく、子どもの将来の見通しが立ちやすいというメリットもあるのです。

実際私も長女に向いている高校をいくつか教えてもらいました。

長女に関しては将来どうなっているのかが全く分からなかったので、親としてはある程度選択肢を教えてもらえるのは嬉しかったです。

ADHD傾向の子どもの小学校の選び方

先ほども少し触れましたが、子供には小学校から進路があります。

一般的なお子さんは「通常学級」一択ですが、発達に心配のあるお子さんの場合は選択肢が発生するのです。

それが支援学級・通級・支援学校です。

先ほどは本当に簡単に触れただけなので、もう少し掘り下げてご説明します。

通常学級

健診でとくに問題なく、発達に関して心配事のない子が進む進路です。

担任の先生と25~35人程度の人数の児童で1クラスが構成されています。

教科書と黒板を使い、全員が同じスピードで授業を受け、定期的にテストを受けるクラスです。

担任の先生との個人懇談は年に1~2回程度で、連絡帳の使用はイレギュラーな出来事のお知らせに使用するため使用頻度は低いです。

1クラスの人数が多いので友人が作りやすく、勉強が遅れることもありません。

ただし、先生が一人で授業を見ているので、ぼーっとしているとどんどん先に進んでしまうため一度躓くと自力での挽回が難しいという点もあります。

通級

通級とは、大体は通常学級の授業を受けることができつつも、週に1~複数回程度は特別な障害に応じた授業を行うクラスをいいます。

一週間の時間割はほぼ通常学級で受けつつ、金曜日の2時間目のみ通級学級で特別指導、翌週は火曜日の4時間のみ特別指導…といったように、ところどころ時間割が通常学級と異なる部分があるのです。

全時間割を通常学級と同じで受け、プラスで通級指導を入れるという学校または家庭もあります。

通級はどこの学校にも必ずあるわけではないので、初めて名前を聞くという人も多いかもしれません。

通級は、精神障がいや身体障がいを持つ子が多くは入れますが、知的障がいを持つ子は入れません。

通常学級と同じ授業を受けるので、知的な遅れがある子はついていけなくなってしまうためと考えられます。

困りごとの程度が軽い子であれば、通級は嬉しいものではないでしょうか。

支援学級

支援学級には複数のクラスがあります。

これは学校の児童の人数によって変わることかもしれませんが、大体以下のように分かれるのが一般的です。

このほかに耳の聞こえにくい子のための「難聴学級」や、車いすの子のための「肢体不自由特別支援学級」というクラスもありますが、学校によってはクラスを分けないところもあります。

支援学級は通常学級よりも多く個人懇談があるため、担任の先生と顔を合わせる機会が少し多いです。

その分家の様子や学校での様子をすり合わせ、今後どう子供の成長につなげていくのか明確になりやすいというメリットもあります。

知的クラス

主に知的な遅れのある子が在籍するクラスで、通常学級の子たちと同じ教科書は使いません。

それぞれの特性に合わせた学習を行うという特徴があります。

私の近所の学校では、複数の学年の児童が同じ教室内で授業を受けていました。

大体児童5~6人を先生が1人で見ていくので目が行き届いており、わからなかったら1人だけ勉強から取り残されるということがありません。

情緒クラス

知的な遅れはないものの、落ち着きがなかったり他者とのコミュニケーションが難しいと感じている子はこちらのクラスの在籍します。

情緒クラスの場合は通常学級と同じ教科書を使って学習するため、通常学級の子たちと同じ勉強量です。

週に数回、通常学級の教室へ行き、交流学習を行います。

落ち着きのない子などは、成長とともにだんだんと落ち着いて学習を続けられるようになる可能性もあるため、最初は情緒クラス、高学年から通級、中学校からは通常学級へ進むという目標を持っている家庭もあり、そのために学習で後れを出さないことは非常に重要です。

こちらも5~10人ほどのクラスで、先生が1人ついて学習します。

知的クラス同様、先生の目が行き届いているため勉強がわからないままどんどん進んでしまうということもなく、連絡帳でこまめに保護者と先生間でやりとりができるため、自分の子どもの現在の困りごとや課題などがすぐに把握できます。

デメリットは、通常学級とは教室が違うためにすくな人数で人間関係を構築していくという点です。

実際、私の娘は情緒クラス唯一の女子で、ほかの子は全員男の子であるため、同性同士の友人関係が築けません。

これは今後、高学年になり少し人間関係が複雑になっていったときに課題になっていくと懸念しています。

支援学校(療育手帳がないと入れない)

ADHDではあまり選択肢に入らないかもしれませんが、学区内の支援学級のほかに、地域によっては支援学校という選択肢もあります。

入学できるのは療育手帳が発行されている障がいを持つ子どもたちです。

支援学級では主に知的クラスに該当する子が通えるのですが、私の通っている地域では児童5~6人につき先生が2人つき、玄関や教室入口、窓の鍵などのセキュリティ面が非常にしっかりしていたり、暖房には絶対に触れられないように柵がついていたりと、施設だけでも安心できるポイントが非常に多くあります。

授業では教科書を使わず、プリントや独自の教材を使ったり、体幹を鍛えるなどの運動能力を向上させるものが多く、進み具合もゆっくりめで先生がしっかり見てくれるため非常に手厚いです。

次女の進路先で悩んで実際に支援学校と支援学級の両方を同じ日に見学に行きましたが、次女に関しては支援学校に進ませようと即決するほどのものでした。

ADHDかもと思ったら早めに相談することが重要

ADHDは「ふざけている」「怠けている」と判断されることもあるため、身近な大人が理解していないと子供が辛い思いをすることになります。

本人は真剣なのに、「ちゃんとやって」と言われてしまうと悲しいですよね。

ADHDは振り返ってみると「あれもそうだったのかも」と思えますが、集団生活前には他者と比較することがないため気付きにくいところがあります。

判断が遅くなると、子供の進路が変わり、将来に影響することもありますので、少しでもひっかかることが発生したらすぐに相談できる場所を見つけておくと安心です。

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